誰に、どの順で、何を渡すか。それを決めておくことです。人が毎回指示を出すのであれば、それは束ねているのではなく、手で回している状態です。順番と受け渡しが仕組みとして書かれていて、初めて束ねたことになります。
当社では、この段取りを受け持つ役を 5体 置いています。数が少ないのは、段取りは分けるほど分かりにくくなるためです。
集める役 → 整える役 → 判断の材料を作る役、と一列に渡していく形です。工程が決まっている仕事に向きます。どこで止まったかが分かりやすく、いちばん扱いやすい型です。
落とし穴は、途中の要約です。渡すたびに情報が落ちるので、後ろの役は元の資料を見られません。当社は、要約と一緒に出どころを渡して、必要なら元を引けるようにしています。
もう一つの利点は、途中に人を入れられることです。三工程のうち二つ目の後だけ人が見る、という置き方ができます。全部を自動にするか手作業にするかの二択にしないための型でもあります。
順に流す(逐次) ── 一列に渡す。工程が決まった仕事に。
分けて集める(並列) ── 同時に走らせて、最後に束ねる。速さが要るときに。
繰り返して直す(反復) ── 作って、見て、直す。品質を上げたいときに。
この三分類は、エージェントを組む道具立ての側でも同じ形で扱われています(英語)。Google「Agent Development Kit ── Workflows」↗
同じ問いを別の役に同時に投げて、最後に束ねる形です。速さが出ますし、見落としも減ります。三つの角度から見た結果を並べると、一つだけでは気づかないものが出てきます。
落とし穴は束ね方です。三つの答えが食い違ったとき、どれを採るかの決め方を先に書いていないと、束ねる側が勝手に混ぜます。多数で採るのか、条件で選ぶのか。決めておく必要があります。
渡す資料も、役ごとに絞ります。全員に同じものを全部渡すと、資料のぶんが人数ぶんかかります(B-05-3 反証させる価値と、費用の上限)。
作る役と、見る役を置いて、指摘があれば直してもう一度見る。品質は上がりますが、これがいちばん危ない型です。合格の条件を書いていないと、終わりません。
ですから上限を先に付けます。何周まで回すか、何分までか、いくらまでか。三つの上限の付け方はB-04-2 ループを止める設計に書きました。上限が無い繰り返しは、当社では動かしません。
当社の使い方でいうと、まず並列で集めて、順に整えて、最後の仕上げだけ繰り返す形が多いところです。型は道具で、どれかを選ぶものではありません。工程ごとに合う型を当てます。
周期で動かす部分は、そもそもAIに順番を考えさせず、時刻で起動しています。実測で 221本 の自動巡回が回っていて、そのうち日次が 103本 です。決まった段取りは、決まった時刻に回すほうが安く確実です。
型を選ぶより先に決めるのは、どこで人が見るかです。型が決まってから人の場所を探すと、たいてい最後に一つだけ付く形になり、そこが渋滞します。
三つのどれを使っても、束ねた先で出てくるのは判断の材料です。決めるのは人のままにしてあります。お金、対外的なもの、取り消せないもの。この線は型の話とは別に固定しています(第7章 人が決めること)。
体数を増やしても、決める人は増えません。増えるのは材料だけです。
うまく動かないとき、型が分かっていると探す場所が絞れます。順に流す形なら、どの受け渡しで情報が落ちたか。分けて集める形なら、束ね方の基準。繰り返す形なら、合格の条件。症状ごとに見る場所が決まります。
束ね方が決まったら、最後は反対役の値打ちと、その費用の話です。
章と記事の全体は図書館の見取り図で一枚にまとめています。