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棚B 仕事をまかせる ── 第4章の深掘り 2026-07-25 読了 約4分

ループを止める設計
上限、戻し方、記録の三つ

この記事について

「暴走したら、どうするのですか」というご質問を、いちばん多くいただきます。エージェントはうまくいかないときに同じ手を繰り返します。悪意ではなく、判断の材料が変わらないためです。止める仕組みは、動かす前に用意しておくものです。

第4章「エージェント」を深く読む 全3本B-04-2 / 全3本
  1. 入口エージェント ── 道具を使い、自分で動くAI
  2. B-04-1何を渡し、何を渡さないか ── 道具を持たせる前に
  3. B-04-2ループを止める設計 ── 上限・戻し方・記録
  4. B-04-3短期と長期の記憶 ── 忘れてよいものと残すもの

01なぜ、繰り返してしまうのか

エージェントは「考える → やる → 結果を見る」を回します。結果が思わしくないと、考え直して次の手を打ちます。ここで、材料が前と同じままだと同じ結論に戻ります。人が同じ壁に何度もぶつかるのと似た形です。

問題は、機械の速さで繰り返すことです。人なら三回で気づくところを、数百回続けます。費用は回数ぶんかかり、書き込む道具を持っていれば、そのぶん残ります。

実際に多いのは、外部への照会が失敗している場面です。AIには「失敗した」としか返らないので、原因が見えません。人なら別の手を考えますが、材料が同じままなら、選ぶ手も同じになります。

02一つめ ── 上限を、三種類つけます

三つの上限

回数 ── 何手まで試すか。当社は用途ごとに決めています。
時間 ── 何分で打ち切るか。止まったのか考えているのかは、外からは見えません。
費用 ── いくらまで使えるか。使った量で決まるので、上限は金額で置けます(第9章 費用)。

自律的に動く仕組みの利点と注意は IPA の解説にまとまっています。IPA「SDS技術コラム:AIエージェント」↗

三つとも要ります。回数だけでは、一手が長い場合に止まりません。時間だけでは、短い手を大量に打つ場合に効きません。

費用の上限は、いちばん後ろで効きます。回数と時間をすり抜けた場合でも、金額で止まります。

03二つめ ── 戻し方を、先に用意します

上限で止めても、途中まで書いたものは残ります。ですから一手ずつ取り消せる形にしておきます。当社がやっているのは三つです。上書きせず追記の形で残す。変えるときは変更前を控える。まとめて実行せず、一件ずつ区切る。

戻せない操作は、そもそも道具として渡しません(B-04-1 何を渡し、何を渡さないか)。止め方の設計は、渡す道具を決める段階から始まっています。

まとめて実行しないのは、止まったときに「どこまで済んだか」を数えられるようにするためです。百件を一度に書くと、四十件目で止まったことが分かりません。一件ずつ区切ってあれば、続きから始められます。

04三つめ ── 全部の手を、記録します

何を呼んだか、どの値を渡したか、何が返ったか。一手ごとに残します。理由は単純で、追えないものは止められないからです。「どこかで止まっています」では、どこを直せばよいか決まりません。

記録は、直すための材料にもなります。当社はエラー 3,521件 から 3,518件、99.9% を教訓として抜き出し、次の判断に回しています。責める材料ではなく原材料として扱う、という決めごとです。

05止まったときに、誰が気づくか

上限で止めるところまで作ると、次は「止まったことに気づく仕組み」が要ります。当社では 221本 の自動巡回が回っていて、死活の確認は 約20分おき です。人が見に行くのではなく、止まったものだけが上がってきます。

この考え方は第8章 監視と自己修復にまとめました。検知だけを足すと、直す側が追いつかずに一覧が溜まります。検知と、解消の手順は、同時に用意します。

06最後の栓を、一つだけ持ちます

個別の上限とは別に、全体を止める栓を一つ用意しています。人が押せる場所に置き、押したら新しい動きは始まりません。使う場面はほとんどありませんが、無いままでは動かさないという順序にしています。

07止め方の無い自動化は、動かしません

自動化の可否を決めるとき、当社が最初に見るのは効果ではなく、止め方があるかどうかです。国の指針でも、人が関与できる形を保つことが求められています。

動かす前に、確かめること

上限は三種類ついていますか。/一手ずつ戻せますか。/全部の手が記録に残りますか。/止まったとき、誰に上がりますか。

四つのうち一つでも空欄なら、動かしません。

人の関与の考え方は国の指針に整理されています。経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」↗

08まとめ

止め方が決まったら、次は記憶です。何を忘れてよく、何を残すのか。

第4章の枝 ── いま読んでいる位置
第4章 エージェント B-04-1 何を渡し、何を渡さないか B-04-2 ループを止める設計(いまここ) B-04-3 短期と長期の記憶

章と記事の全体は図書館の見取り図で一枚にまとめています。

当社では 221本 の自動巡回が回り、死活の確認は 約20分おき です。エラー 3,521件 のうち 3,518件(99.9%) を教訓として抜き出しています。数え方は「AIの中身」に開いています。

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/NEXT

忘れてよいものと、
残しておくもの。

短期の記憶はその場で消え、長期の記憶は選んで残します。全部残すと探せなくなる理由を次に。

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