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棚B 仕事をまかせる ── 第5章の深掘り 2026-07-25 読了 約4分

分けて良くなる仕事、悪くなる仕事
一体で足りる場面

この記事について

「何体くらい必要ですか」と聞かれることがあります。数は目的ではありません。分けると良くなる仕事もあれば、分けたことで遅く、高く、雑になる仕事もあります。判断の線を三つに絞って書きます。

第5章「マルチエージェント」を深く読む 全3本B-05-1 / 全3本
  1. 入口マルチエージェントとオーケストレーション
  2. B-05-1分けて良くなる仕事、悪くなる仕事
  3. B-05-2束ね方の三つの型 ── 順に流す・分けて集める・繰り返す
  4. B-05-3反証させる価値と、費用の上限

01一体に全部を持たせると、何が起きるか

ひとつのAIに、集めることも判断することも書くことも任せると、指示文が長くなります。長い指示は、途中が薄くなります。そしてどこで間違えたのかが分からなくなります。全部を一人でやった仕事は、後から検算しにくい形です。

もう一つは、権限です。一体で全部やるなら、その一体に全部の道具を渡すことになります。読むだけで済む工程にまで、書き込みの権限が付きます(B-04-1 何を渡し、何を渡さないか)。

直すときにも困ります。一体の中で全部を済ませていると、どの指示を変えれば直るのかが見えません。長い指示文の一行を書き換えたら、関係のない振る舞いまで変わる。分けていないことの副作用です。

02分けたほうがよい、三つの条件

分ける条件

1. 手順が分かれている ── 集める、整える、判断する。工程の区切りがはっきりしている。
2. 判断の基準が違う ── 良い案を出す基準と、危なさを指摘する基準は別物です。
3. 同時に進められる ── 待たずに並べられるなら、分けたぶんだけ早く終わります。

単体で足りるかを先に確かめる考え方は Anthropic の解説にも整理されています(英語)。Anthropic「Building Effective AI Agents」↗

二つめが、当社でいちばん効いています。提案する役の隣に、反対する役を置く。同じ一体に「よく考えて、批判もして」と頼むと、たいてい賛成が返ってきます。

03分けると、増えるものもあります

受け渡しです。前の工程の答えを、次の工程に渡すたびに要約が挟まります。要約は情報を落とします。三回渡せば三回落ちる。分けるほど、伝言の劣化が積みます。

費用も増えます。呼ぶ回数が増えれば、そのぶん使った量が増えます(第9章 費用)。速くなるのは同時に進められる場合だけで、順に流すだけなら、分けても総量は減りません。

速さも、期待とずれることがあります。三体に分けても、前の役の答えを待つ形なら、一体のときより遅くなります。同時に走らせられるかどうかは、分ける前に確かめます。

04一体で足りる場面

短い一続きの仕事は、分けないほうが速くて安いです。「この文章を整える」「この表から三行抜く」。工程がひとつしかないものを二体に分けると、受け渡しの手間だけが増えます。

迷ったときは、一体で作ってから、詰まったところだけを切り出す順序にしています。最初から役割表を作ると、動いていない役ができます。

動いていない役は、並んでいるだけで点検の手間を増やします。当社は台帳の登録 105体 のうち、実際に動いている 85体 だけを稼働数として数えています。

05当社の分け方

実測では 85体 が動いていて、内訳は日々の動きを記録する観測が 60体、記憶を整える知識が 9体、段取りを進める循環が 8体、順番を組む統率が 5体、最終判断の材料を用意する判定が 3体 です。

数が多いのは観測です。見る仕事はいくらでも分けられて、しかも分けても劣化しません。逆に判定は 3体 しかありません。判断は分けるほど責任の所在が薄くなるためです。

分けやすい仕事、分けにくい仕事

分けやすい ── 見る、数える、集める。答え合わせが機械でできるもの。
分けにくい ── 決める、まとめる、書き分ける。基準が文脈に依るもの。

06分ける単位は、組織ではなく仕事

「営業担当のAI」「経理担当のAI」という分け方をご希望いただくことがありますが、当社はとっていません。人の組織図に合わせると、一体が受け持つ仕事の幅が広くなり、結局は一体に全部持たせた形に戻ります。

分けるのは仕事の単位です。誰の仕事かではなく、何をする工程かで切ります。

もう一つ理由があります。組織は変わりますが、工程はあまり変わりません。「請求書を読み取る」という工程は、担当が替わっても同じ形で残ります。変わりにくいほうに合わせて切ると、作り直しが減ります。

07まとめ

分けると決めたら、次は束ね方です。型は三つあります。

第5章の枝 ── いま読んでいる位置
第5章 マルチエージェント B-05-1 分けて良くなる仕事(いまここ) B-05-2 束ね方の三つの型 B-05-3 反証させる価値と費用

章と記事の全体は図書館の見取り図で一枚にまとめています。

当社は稼働 85体 を、観測 60体・知識 9体・循環 8体・統率 5体・判定 3体 に分けています。台帳の登録は 105体 で、動いていないものは稼働数に混ぜていません。内訳は「AIの中身」に開いています。

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束ね方は、
三つの型で足ります。

順に流す、分けて集める、繰り返して直す。三つの型と、それぞれの落とし穴を次に。

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