ホーム / 図書館 / 第8章 / C-08-2

棚C まかせたあとを守る ── 第8章の深掘り 2026-07-26 読了 約4分

人が読める数まで警報を減らす
鳴りっぱなしは、鳴っていないのと同じ

この記事について

警報を増やすのは簡単です。むずかしいのは、鳴ったときに必ず読まれる状態を保つことです。読まれない警報は、置いていないのと変わりません。当社が件数を減らすために使っている基準をご説明します。

第8章「監視と自己修復」を深く読む 全3本C-08-2 / 全3本
  1. 入口監視と自己修復 ── 落ちたとき、誰が最初に気づくか
  2. C-08-1何を見張るか ── 「動いている」の先
  3. C-08-2人が読める数まで警報を減らす
  4. C-08-3自分で直す仕組みと、その限界

01鳴りっぱなしは、鳴っていないのと同じです

警報が一日に何十件も届く状態が続くと、人は開かなくなります。悪気があるのではなく、開いても手を打てない件が続けば、優先順位が下がるのが当たり前だからです。

そうなったあとで本当の異常が鳴っても、同じ束の中に埋もれます。件数が多いことは、安心ではなく危険な状態です。

一日に何件までなら必ず開けるか。先にその数を決めておくと、増えたときに減らす理由がはっきりします。当社は、人数と使える時間から逆算しています。

02出す基準は「超えたか」ではありません

よくある作り方は、数値がある線を超えたら鳴らす、というものです。これだと線の引き方だけで件数が決まり、たいてい多すぎるほうに寄ります。

当社が使っている基準は一つです。鳴ったとき、人が今すぐ何かをするか。しないなら、それは警報ではなく記録です。

「念のため」で作った警報は、ほぼ確実に読まれなくなります。念のためは、記録の側に置きます。

「利用者への影響が出ているときだけ鳴らす」という考え方は、運用の実務書でも中心に据えられています。Google SRE Workbook「Alerting on SLOs」(英語)↗

03三つに仕分けます

全部を同じ強さで出さないことが、いちばん効きます。当社は三段に分けています。

知らせ方の三段

今すぐ ── 止まっている、または外に影響が出ている状態です。すぐ手を動かします。
今日中 ── 動いてはいますが、放っておくと悪くなるものです。まとめて一日一回。
記録だけ ── あとで傾向を見るためのもの。通知はしません。

迷ったものは、まず記録だけに置きます。上げるのは、実際に手を打った回数が出てからで間に合います。

下から上へ上げるのは簡単ですが、上から下へ落とすのは決断が要ります。ですから、最初は低いほうから始めます。

どの段に置くかは、作った人ではなく受け取る人が決めます。受け取らない人が決めた警報は、たいてい一段高いところに置かれます。

04同じ原因で、百件鳴らさない

一つの不具合が、下流の十か所で失敗を起こすことがあります。そのまま出せば十件の警報になりますが、人が知りたいのは一件です。

ですから、同じ原因のものは束ねて一件にします。件数は本文に書けば足ります。数えるのは仕組みの仕事、読むのは人の仕事と分けておくと、束ね方は自然に決まります。

まとめ方や重複の抑制は、監視の道具側にもともと備わっている考え方です。Google Cloud「Cloud Monitoring の概要」↗

05消すことも、設計のうちです

作った警報を消すのは、なんとなく気が引けます。消した直後に限って問題が起きるのではないかと思うからです。

それでも当社は、月に一度は棚卸しをして、一度も手を打たなかった警報を落としています。判断は簡単で、鳴った回数と、それを見て何かをした回数を並べるだけです。後者がゼロなら、それは記録に落とします。

落とすときは、いきなり消さずに一か月だけ記録に置いて様子を見ます。それで困らなければ、そのまま消します。

06誰に届くかも、決めておきます

宛先が「全員」になっている警報は、結果として誰も見ません。全員宛は、誰の仕事でもないという意味になります。

当社は、今すぐ手を打つ種類のものだけ受け取り手を一人に決めています。承認の置き方と同じ考え方です(C-07-2 承認をどこに置くか)。読む人が決まっていない知らせは、届いていないのと同じです。

受け取り手を決めると、休みの日の扱いも自然に決まります。誰も見ていない時間帯に鳴るものは、翌朝に届けば足りることがほとんどです。

07当社の場合

当社では 221本 の定期実行と 85体 の稼働があり、素直に全部を通知に回せば、一日で読めない量になります(AIの中身)。

そこで、通知に出すのは外に影響が出る種類のものだけに絞り、残りは画面に集めています。集めておけば、見に行くことはできます。見に行けるものと、押しかけるものを分けるのが、件数を保つこつです。

08まとめ

知らせ方が決まったら、次は直し方です。仕組みが自分で直せる範囲と、直してはいけない範囲を見ていきます。

第8章の枝 ── いま読んでいる位置
第8章 監視と自己修復 C-08-1 何を見張るか C-08-2 警報を読める数に減らす(いまここ) C-08-3 自分で直す仕組みの限界

章と記事の全体は図書館の見取り図で一枚にまとめています。

当社の定期実行は 221本、稼働 85体 です。通知に出すのはこのうち外に影響が出る種類だけに絞っています。数え方は「AIの中身」に開いています。

← 図書館へ戻る

/NEXT

気づいたあと、
自分で直せますか。

知らせるところまでは仕組みでできます。では直すところは。任せてよい範囲を次に。

C-08-3 を読む