ホーム / 図書館 / 第7章 / C-07-1

棚C まかせたあとを守る ── 第7章の深掘り 2026-07-26 読了 約4分

自動にしないと決めた仕事
線の引き方と、その理由

この記事について

「どこまで任せるのですか」は、導入前にいちばん多くいただくご質問です。この答えを持たずに始めると、あとから一件ずつ揉めます。できるかどうかではなく、任せないと決めておくことを先に一覧にします。

第7章「人が決めること」を深く読む 全3本C-07-1 / 全3本
  1. 入口人が決めること ── 自動化しない線
  2. C-07-1自動にしないと決めた仕事 ── 線の引き方
  3. C-07-2承認をどこに置くか ── 手前に置くか、後ろに置くか
  4. C-07-3間違えたとき、誰が答えるのか

01先に一覧を作ると、話が早くなります

できることを数えるより、やらせないことを数えるほうが早いというのが、実際にやってみた感想です。できることは日々増えますが、任せない仕事はあまり変わりません。

ご相談の場でも、まずこの一覧をお見せします。「ここは人が決めます」と先に言えると、残りの話が進みます。

この一覧は、社内向けの安心材料でもあります。任せない範囲がはっきりしていると、任せる範囲は思い切って任せられます。線が曖昧なままだと、どちらも中途半端になります。

02線は、能力ではなく取り消せるかで引きます

「AIには無理だから人がやる」という引き方は、長続きしません。性能は上がりますから、そのたびに線を引き直すことになります。

当社が使っている基準は一つです。間違えたとき、取り消せるかどうか。取り消せるものは自動にしてよく、取り消せないものは人が決めます。この基準なら、性能が上がっても線は動きません。

取り消せるか、で分ける

取り消せる ── 下書きの作成、社内の記録、集計、分類、通知の候補づくり。間違えても書き直せます。
取り消せない ── 送信、支払い、公開、削除、契約に関わるもの。出たあとでは戻りません。

03当社が自動にしていない五つ

はっきりさせておきます。お金の支払い、契約に関わること、お客様への最初のご連絡、対外的な公開、そして消すこと。この五つは、AIの判断だけでは動きません。

どれも「できない」のではありません。技術としては可能です。それでも、決める場面として人に残すと決めています。

五つに共通しているのは、間違えたときに相手がいることです。社内で完結する仕事なら、書き直せば済みます。外に出たものは、こちらの都合では戻せません。

04手当ての重さは、影響の大きさで変えます

全部を同じ厳しさで扱うと、確認が多すぎて回りません。影響の小さいものは軽く、大きいものは重く。国内で示されている指針でも、リスクの大きさに応じて手当てを変える考え方が基本になっています。

国内の考え方は次にまとまっています。経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」↗

05「決めること」だけが、人に残ります

この線引きをすると、人の仕事は減ります。ただし無くなりはしません。残るのは決める場面です。集める、整える、下書きするところまでは自動で進み、出すかどうかだけを人が押します。

当社の言い方では、決めることだけが人を通り、ほかは自動で流れます。これは効率のためだけではなく、あとで説明できる形を保つためでもあります(C-07-3 間違えたとき、誰が答えるか)。

ご相談の入口でも、この点は必ず確認されます。「全部AIが決めてしまうのですか」というご質問に、最初に答えられる形にしています。

06線は、文書ではなく仕組みで守ります

方針を書いた文書だけでは守られません。急いでいるときに、人は例外を作ります。ですから、渡す道具の側で守ります。送信する道具を渡さなければ、送信は起きません(B-04-1 何を渡し、何を渡さないか)。

指示文でお願いする形にしないのも同じ理由です。指示文は揺れますが、渡していない道具は揺れません。

例外を作るときも、その場で緩めずに、道具の側を作り直します。手順を一度でも回り道させると、そちらが通常になります。

渡していない道具は、そもそも一覧に出しません。選べないものは、選ばれません。禁止するより、無いほうが確実です。

07当社の場合

稼働している 85体 のうち、自分の判断で書き込めるのは 17体 です。残りは読んで記録する係で、書き込む必要がありません。試運転 32体、範囲を限って書けるものが 36体。信頼は最初から渡さず、実績で上げています。内訳は「AIの中身」に開いています。

08まとめ

線が引けたら、次は止める場所です。承認を手前に置くか、後ろに置くかで、詰まり方が変わります。

第7章の枝 ── いま読んでいる位置
第7章 人が決めること C-07-1 自動にしないと決めた仕事(いまここ) C-07-2 承認をどこに置くか C-07-3 間違えたとき、誰が答えるか

章と記事の全体は図書館の見取り図で一枚にまとめています。

当社は稼働 85体 のうち、自分の判断で書き込めるのは 17体 です。試運転 32体・範囲を限って書けるもの 36体。支払い・契約・最初のご連絡・公開・削除は自動にしていません。内訳は「AIの中身」に開いています。

← 図書館へ戻る

/NEXT

止める場所を、
どこに置くか。

承認を全部の手前に置くと、そこが詰まります。前・後・抜き取りの三通りを次に。

C-07-2 を読む