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棚A ことばをそろえる ── 第3章の深掘り 2026-07-25 読了 約4分

資料の切り分け
探せるかは、切り方で決まる

この記事について

「資料は全部入れました。それでも欲しい答えが出ません」というご相談の多くは、中身ではなく切り方の問題です。RAGは資料を丸ごと読むのではなく、切って保管し、必要な断片だけを取り出します。切り方が悪いと、良い資料でも見つかりません。

第3章「RAG」を深く読む 全3本A-03-1 / 全3本
  1. 入口RAG ── AIに、調べてから答えさせる
  2. A-03-1資料の切り分け ── 探せるかは切り方で決まる
  3. A-03-2意味で探す検索と、語で探す検索
  4. A-03-3渡した資料はどこへ行くのか

01なぜ、丸ごと入れないのか

理由は二つあります。ひとつは、AIが一度に扱える量に上限があること。二百ページの手引きをそのまま渡すことはできません(A-02-1 トークンと文脈の窓)。

もうひとつは、探す精度です。一冊まるごとを一つの塊として保管すると、「この一冊は関係がありそうです」までしか分かりません。知りたいのは、その中のどの段落かです。ですから、あらかじめ切って保管します。

02大きすぎると、どうなるか

一つの塊が大きいと、探し当てたときに余分が大量に付いてきます。関係のある三行のために、関係のない三ページも一緒に渡ることになる。するとAIは余分のほうに引っ張られます。

出典を示すときにも困ります。「この一冊のどこかに書いてあります」では、確かめる手間が減りません。

03小さすぎると、どうなるか

逆に細かく刻みすぎると、主語が消えます。「税抜です」という一行だけを取り出しても、何の話か分かりません。数字だけが残って、条件が別の塊に行ってしまう。これはもっともらしい嘘の材料になります。

表も同じです。行だけを切り出すと、項目名がどこかへ消えます。「30,000」という数字だけが残っても、それが制作費なのか月々の保守料なのかは分かりません。数字は、単位と条件と一緒でなければ意味を持ちません。

04実務での切り方

三つの決めごと

1. 見出しの単位で切る ── 文字数で機械的に切らず、話の区切りで切ります。
2. 前後を少し重ねる ── 隣と数行だけ重ねておくと、境目で意味が切れません。
3. 出どころを貼る ── どの資料の、どの見出しか、いつのものか。塊ごとに持たせます。

切り分けの考え方は Google Cloud の解説にも整理されています。Google Cloud「RAG Engine の概要」↗

三つめが、あとで効きます。出どころが付いていない塊は、出典を示せません。出典を示せない答えは、確かめるのに元の資料を探すことになり、結局は人の時間を使います。

大きさの目安をよく聞かれます。当社は、見出しひとつぶん(おおむね数百字)を一件として扱い、それより長い節はさらに分けています。重ねるのは二、三行で足ります。ただし、目安より先に確かめるべきことがあります。入れ終えたあとで、実際にいくつか質問を投げ、狙った塊が返ってくるかを見る。切り方の良し悪しは、机の上では決まりません。

05表と図は、別に扱います

料金表や仕様表を、文章と同じやり方で切ると、まず壊れます。当社は表を文章に書き換えてから保管します。「A案は月額○円、含まれるものは○と○」という形に開いておくと、探せるようになります。

画像の中に文字がある資料(紙の書類を撮ったもの、図として貼られた表)は、そのままでは読めません。先に文字にする工程が必要です。ここを飛ばした状態で「入れたのに出てこない」となる例が多いところです。

06更新は、足すのではなく入れ替える

いちばん起きやすい事故がこれです。料金を改定したときに、新しい資料を足しただけで古い資料を消さない。すると古い金額と新しい金額の両方が保管され、AIはどちらかを引きます。

ですから、更新は入れ替えとして扱います。古い塊を消してから、新しい塊を入れる。残す必要があるなら「○年○月まで有効」と書き添えて、いま有効なものと区別できる形にします。

更新のときに決めておくこと

差し替えるのか、履歴として残すのか。資料の種類ごとに、先に決めておきます。
料金・仕様・手順 ── 差し替え。古いものは残しません。
議事録・報告 ── 履歴として残す。日付が意味を持つためです。

07当社の場合

当社が自社で使っている記憶は 11,239件 で、全件が検索できる状態にあります。件数が増えても困らないのは、一件が小さく、出どころが付いているからです。数え方は「AIの中身」に開いています。

08まとめ

切り分けができたら、次は探し方です。意味で探す検索と、語で探す検索。片方だけでは外れます。

第3章の枝 ── いま読んでいる位置
第3章 RAG A-03-1 資料の切り分け(いまここ) A-03-2 意味と語、両方で探す A-03-3 渡した資料はどこへ行くのか

章と記事の全体は図書館の見取り図で一枚にまとめています。

当社の記憶は 11,239件、全件が検索できる状態です。一件を小さく保ち、出どころを貼ってあるので、件数が増えても探す精度が落ちません。数え方は「AIの中身」に開いています。

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意味で探すか、
語で探すか。

言い換えに強い探し方と、型番に強い探し方は別物です。片方だけでは外れる理由を次に。

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