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棚A ことばをそろえる ── 第2章の深掘り 2026-07-25 読了 約4分

同じ質問なのに、
答えが変わる

この記事について

「昨日と同じことを聞いたのに、違う答えが返りました。壊れたのでしょうか」というご質問をいただきます。壊れていません。ただ、揺れたままで業務に載せてはいけない場所はあります。どこを固めて、どこを残すかを書きます。

第2章「生成AIとLLM」を深く読む 全3本A-02-2 / 全3本
  1. 入口生成AIとLLM ── 次にくる言葉を予測している
  2. A-02-1トークンと文脈の窓 ── 長い資料はなぜ抜けるのか
  3. A-02-2同じ質問なのに答えが変わる ── 揺れを止める場所
  4. A-02-3もっともらしい嘘を減らす順番

01揺れは、故障ではありません

生成AIは、次にくる言葉を一つに決めているのではなく、候補それぞれの見込みを出して、そこから選んでいます。いちばん見込みの高いものだけを毎回選ぶ設定もできますが、既定ではそうなっていません。だから、二度目は違う言葉から始まることがあります。

そして言葉は一つずつ積み上がるので、最初の一語が違うと、そのあとの文章もまるごと変わります。ほんのわずかな差が、見た目には大きな差になって出てきます。

02揺れ幅は、動かせます

揺れの大きさを決める設定があります。よく「温度」と呼ばれるものです。下げると見込みの高い言葉に寄り、上げると珍しい言葉も混ざります。事実を答えさせる仕事では下げ、案を出させる仕事では上げる。使い分けが基本です。

ただし、下げれば毎回同じ答えになる、とまでは言えません。同じ設定でも文章が一致しない場合があります。「完全に同じ」を前提にした仕組みは組まないほうが安全です。

揺れ幅の使い分け

低く ── 分類、抽出、要約、金額や日付の読み取り。ぶれてほしくない仕事。
高く ── 案出し、言い換え、見出しの候補づくり。同じものが返ってきては困る仕事。

設定の意味と目安は Google Cloud の解説が具体的です。Google Cloud「パラメータ値を試す」↗

03業務で困るのは、たいてい形のほうです

実務で問題になるのは、内容の違いより形の違いです。ある時は「合計 1,200円」と返り、次は「合計は1200円です」と返る。人が読むぶんには同じですが、後ろの仕組みに渡すと止まります。

ですから、先に形を決めてしまいます。項目名と並び順を指定し、それ以外を書かせない。この一手で、揺れの大半は実害を失います。

04止め方は、三段で考えます

三段の止め方

1. 形を決める ── 項目・並び・選択肢を指定する。自由に書かせない。
2. 機械で検査する ── 形が崩れていたら受け取らない。数値は桁を確かめる。
3. 記録して比べる ── 同じ質問を定期的に流し、答えのずれを測る。

三つめが抜けている仕組みは、静かに悪くなっていきます。モデルを入れ替えた日から精度が落ちていても、誰も気づきません。測り方は第6章 評価にまとめました。

05「毎回同じ」が要件になるとき

見積書の文面、請求の但し書き、規程の引用。こうしたものは、二度目に少し違う文章が出てきては困ります。ここでの答えは、設定をいじることではありません。一度できたものを保存して、次からは使い回すことです。

同じ条件なら、AIを呼ばずに前の結果を返す。条件が変わったときだけ作り直す。こうすると、揺れも費用も同時に減ります。毎回作り直しているぶんだけ、揺れる機会を自分で増やしていることになります。

作り直す/使い回す の分け方

使い回す ── 定型の文面、規程の引用、よくある質問への答え。
作り直す ── お客様ごとの事情が入るもの、日付や数量で中身が変わるもの。

06揺れを、残しておく場所

すべてを固めればよい、という話ではありません。案を出させる仕事では、毎回同じ答えが返るほうが困ります。三案ほしいときに同じ案が三つ並んでも、選ぶ意味がありません。

分け方はひとつです。正解が一つに決まる仕事は固め、決まらない仕事は揺らす。この線は、第7章 人が決めることで書いた線引きとほぼ重なります。

07当社の場合

当社は、重要な提案を一つのAIに任せません。案を出す役と、穴を探す役を別のモデルに分け、主と予備で 6経路 を用意しています。一つのモデルの機嫌に結果が左右されないためです。

そのうえで、自分の判断で書き込める権限を持つのは 85体のうち17体 だけです。残りは試運転か、範囲を限った書き込みに留めています。数え方は「AIの中身」に開いています。

08まとめ

次の記事は、この章でいちばんご相談の多い話です。もっともらしい嘘を、何から手をつけて減らすか。

第2章の枝 ── いま読んでいる位置
第2章 生成AIとLLM A-02-1 トークンと文脈の窓 A-02-2 同じ質問なのに、答えが変わる(いまここ) A-02-3 嘘を減らす順番

章と記事の全体は図書館の見取り図で一枚にまとめています。

当社は、案を出す役の隣に必ず穴を探す役を置いています。主と予備で 6経路。一つのモデルが黙っても議論が止まらない形にしてあります。数え方は「AIの中身」に開いています。

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/NEXT

もっともらしい嘘は、
順番で減る。

追加学習から手をつけると、お金だけが減ります。効く順に五つ並べて、どこまでを最初にやるかを次に。

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